第5章 少女の瞳に映る黒い影
「痛てえ。」
ベンジャミンは自分の腰を摩り起き上がった。そしてエミリーの檻に駆け寄ったが鍵が掛かっていたのだ。
「くっそー。鍵はどこやった?」
「私は知りません。司令官様に聞かないとわかりませんので。」
手下は笑った。
「何がおかしい?」
ベンジャミンがそう聞いたが手下はいえ”と短く言葉を返しただけだった。
ジャックはノアとメイソンと建物の周りでエミリーを助けられそうなものを探した。
「棒のようなものがあれば掴まってもらえるが。」
「うーん、ここはないようだね。」
メイソンがお手上げポーズをした。
「それじゃあ、仕方ねえな。」
ジャックはズボンのポケットに仕舞っておいた小さな爆弾を勢いよく建物に目掛けて投げつけた!ジャックが使ったのは即席爆発装置というものだった。
ドン!ババァン!
即席爆発装置とは英語で(Improvised Explosive Device, IED)あり合せの爆発物と起爆装置から作られた、規格化されて製造されているものではない簡易手製爆弾の総称である。即席爆弾とも言う。
建物は見る見るうちに炎で覆われた。
「うっ!何だ?」
ベンジャミンは口を手で覆い、手下は床に倒れこんだ。
するとエミリーの檻に炎が燃え移り檻が崩れ始めた。金属は酸化して錆びる事が知られていますが、条件さえ整えばその酸化反応は急激になり、燃焼と呼んでも差し支えないレベルで炎を作って燃え上がるのだ。
「エミリー行くぞ!」
「うん。」
エミリーはベンジャミンと手を繋ぎ建物の中を駆けていくと外へ飛び出した。
「やったあ。」
みんなが喜びの声を上げる中ジャックは燃え上がる建物を見て呟いた。
「最初からこれを使うべきだったな。」
こうしてエミリーは救出されて事なきを終えたみんなは走ってタクシー乗り場に行きタクシーに乗り込んだ。そして自分達の研究室に帰って行く訳だがタクシー運転手にはバレなかったのだ。