第5章 少女の瞳に映る黒い影
「ああ~瞬間移動ができたらいいのになあ。」
そうしたらここからも抜け出せるしおいしいトマトも食べられると思ったからである。
「ここから抜け出すには檻の鍵を探すしかないようね。」
エミリーはそう確信した。
「でもこのトマトをどこかにやらないといけないわ。盗んだことがばれてしまうから。」
元の場所に戻すのも一苦労である。
そして考えた結果トマトを窓の外に出すことにした。
「もったいないけどトマトを目印に誰かが助けに来てくれるかもしれないわね。」
エミリーはトマトを部屋から出して部屋の隣にある小さな窓を開けてトマトを外に出した。
★★★
その頃ジャック達ではエミリー救出大作戦を考えていた。
「それにしても行く当てがわからいないんじゃな。」
メイソンが頭を掻いて項垂れた。
「あの男に見覚えはなかったのか?」
ジャックは悔しそうにベンジャミンに聞いた。
「それがわかんないんですよ。はっきり見たわけじゃないしなあ。」
ベンジャミンは申し訳なさそうに言って椅子に腰かけた。
「何としてでもエミリーを救出しなきゃいけないな。みんな協力しろよ!」
「はーい。」
ジャックの呼びかけにみんなは答えた。そして作戦を練ることにした。
★★★
エミリーは檻の中で考えていた。
「鍵じゃなくてもいいわ。あいつらの何かが分かるかもしれない。探ってみましょう」
エミリーは目を凝らしていろんな場所を見た。
「ここは浴室か。チッ、何もないのか。」
そしてキッチンに行くと冷蔵庫があった。
「なんだ、こんな所にあるじゃない。」
エミリーは冷蔵庫の中を開けた。
ガチャッ。
するとそこには栄養補給のペットボトルがぎゅうぎゅうに詰め込まれていた。
「これじゃあ取り出せないじゃないの。」
そう言いながらも超能力で引っ張っていく。
「ん~もう少しよ。あっ・・・。」
ゴロゴロゴロー。
エミリーが一本のペットボトルを取った拍子他のペットボトルも落ちてきた。
「どうしよう~。あっ誰かの足音が聞こえるわ。」
とりあえず冷蔵庫のドアを閉めて床に落ちたペットボトルをテーブルの上に置いて一本だけは床から転がした。
「何だ?何でペットボトルがこんな所に・・・まさか!?」
警官はペットボトルを掴むと顔をしかめた。
バレたのかしら?エミリーの背筋がぞくっとした。