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ボスとマフィア

第5章 少女の瞳に映る黒い影


翌日、エミリーは檻の中で目を覚ました。
「ジャック達は助けに来てくれるかしら?そう信じたいけど、まずは自分でなんとかしなくちゃね。」
するとそこに男が入ってきた。
「昨日は何も食べてなかったみたいだね。食事を与えてやろう。でないと折角捕まえたのに台無しだからね。」
エミリーは男に鋭い目で威嚇した。
「そんなに怒るな!ほら、目玉焼きトーストを作ってきてやったぞ。食べないのか?」
監禁したというのにこの男は何を考えているのだろうとエミリーは思った。
「そうか私に食べ物を与えて脳を太らせる気だわ。」
「さすが超能力者は鋭いですな。でもその超能力がどこまで通用しますかな?」
男は嫌味たっぷりに手を叩いた。そして朝食が乗ったお皿を檻の外へ置いて去って行った。
「ちょっと!これじゃあ取れないじゃないのよ。」
さすがのエミリーでも檻の柵の間が数センチしかないためお皿ごとは諦めて目玉焼きトーストだけ横に浮かせて檻の中に滑り込ませた。しかしうまくいかず卵の黄身が潰れてしまった。
「仕方ないわね。」
それでもトーストをエミリーは食べ終えた。
「はぁ、喉が渇いたわ。」
こんな時に気を利かせて飲み物でも持って来てくれたらいいのにと思う。
「飲み物がありそうか探すしかないわね。」
エミリーは目を凝らして探した。
「ここにはキッチンはないのかしら?あっあそこかしらね。」
エミリーは食糧倉庫らしき部屋を見つけ超能力でドアを開けて目を凝らした。
「あ~小麦粉に薄力粉に・・・粉だけみたいね。あっちは何があるのかしら?トマトがあったわ。これを頂いていこう。」
エミリーがトマトを宙に浮かせて取ろうとしていると誰かの足とが聞こえた。
「あっ・・・。」
その拍子にトマトは床を転げ落ちて廊下に落ちてしまった。
「何だ?トマトか・・・しかし何でドアが開いているんだろうなあ?気のせいかな?」
男はニヤリとしてトマトを拾うと食糧倉庫に戻してドアを閉めた。
「ばれたのかしら?」
エミリーは男が去って行った後にもう一度食糧倉庫に入りトマトを盗み自身の檻の中へ持ってきた。
「ああ、そうか。檻の中だからトマトは入れないわね。このままだと潰れちゃうわ、どうしよう。」
指が数センチ入るか入らないかの隙間にトマトを入れるのは不可能であった。
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