第5章 少女の瞳に映る黒い影
エミリーは目を覚ました。
「ここは檻の中か?」
何とかして逃げ出す方法を探さなくっちゃね。どうしよう?
辺りを見回しても手掛りになるものはなさそうだ。
「こうなったら超能力を使うしかないわ。」
エミリーがまず使ったのは透視だ。そこには広いスクリーンのある部屋が見えた。
「ここは誰もいないようね。」
引き出しを開けても懐中時計と手袋がしまってあるだけだった。
そして机の上にはガラスの灰皿とマグカップのみだった。
「誰かがこっちに来るわ!」
エミリーは透視の力を一層強くした。
「あいつだ・・・。」
そこにやって来たのはエミリーを檻に追いやった人だった。
「なんて冷酷な目をしているのかしら?とにかくここから脱出する方法を考えないといけないわね。檻の鍵はどこにあるのかしら?」
エミリーはここでふと思い出した。老人から受け取った鍵をあの男に返したということはあれが檻の鍵?だとしたら何処かに仕舞ってあるはずである。
「でも今は探すのは無理だわ。だって私の正体を知られた以上ここで下手に動くとよくないものね。あっ、男が部屋から出ていくわ。後を追ってみましょう。」
エミリーは男の行方を追った。
「誰かと話しているみたいね。」
ー
「やりましたね。」
「ああ、これで世界は正しかったんだと証明できるぞ。」
「それにしてもあの子捕まえた後どうします?」
「任せておけ!俺にいい考えがある。」
男は手下のそう言った後手下に耳打ちした。ー
「耳打ちじゃあわからないわね。何を言ってるのかしら?」
エミリーは必死に耳を傾けたがその後の情報は得られなかった。
どうすればいいんだろう?エミリーは結局この日は何もできなかった。