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ボスとマフィア

第5章 少女の瞳に映る黒い影


そして夜9時になりエミリーは鍵を持ってターミナル駅に着いた。
「俺は陰から見てるからな。」
ベンジャミンは後ろからエミリーに声援を送った。
「わかったわ。」
エミリーは頷くと静かに歩き出した。
ベンジャミンに行かせたのは変装が得意で怪しまれないと思ったからだ。

「やぁ、お嬢ちゃん。約束通り来てくれたみたいだね。」
そこには黒ずくめの男が立っていた。
エミリーはムッとして彼に鋭い目を向けた。
「こんなのもらたって迷惑よ!」
エミリーは言葉を吐き捨て鍵を男の方へ放り投げた。それをすかさず男がキャッチした。
「ははっ、君は随分運動神経がよくお転婆なようですな。」
「何が言いたいの?」
笑う男にエミリーは不信感を抱いた。
何かがおかしいと思っていたからだ。昨日出会った老人と同じカメオを胸に付けているなんてさすがのエミリーでも気が付いていた。
「あなたのそのカメオは昨日私が出会った老人と同じものだわ。お知り合いなの?」
エミリーは男に聞いた。
「さすが頭脳が違いますな。えっとエミリー・カールソンとかいったっけ?」
「何で私の名前を知っているの?はっ!」
エミリーは彼にそう聞いて思い出した。そうか私は超能力の大会に出ていて一時期有名になってたから彼は私の名前くらい知っているんだわと思ったからだ。
「そうさ。昨日の老人は僕だったんでね。」
男はニヤリと笑った。
「偽っていたのね!っていうことは特殊メークで老人に?」
「その通りさ。僕なんかが君に声をかけても受け取ってくれないと思ったからね。」
「でも何でこんなこと・・・えっ?嘘でしょう?」
エミリーが肝心の理由を彼に聞こうとしたその時だ。エミリーの背後を誰かがふさいだ。
「〇△×?★!・・・。」
「エミリー!?」
ベンジャミンが誰かがエミリーの後ろに回っているのに気が付き声を掛けようとしたが遅かったのだ。それは一瞬の出来事だった。そして彼女を助けようと前へ出ようとしたが後ろの気配に止められてしまった。
「そこでお前は何をしている?」
「誰だ?お前は!」
ベンジャミンは暗闇の中の人に声を掛けた。
「あの子は頂いていこう。重要なことに必要なんでね。」
ベンジャミンは暗闇の中にいやな気配を感じた。
「ガスだ・・・うっ。」
ベンジャミンは自分の口を手で押さえその場に倒れ込んだ。
そしてエミリーは男につかまってしまった。



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