第4章 必ずしも正義が勝つとは限らない?
一方の本部ではサングラスを掛けた男がモニターを見て首を傾げていた。
「犯行予告が数字となっている。きっと同一人物の仕業に違いないな。」
そこに警官が頷いた。
「それとあの少女の足取りが一向に掴めていません。彼女は一体何者なのでしょうか?」
「私の調べたデータによると彼女の名前はエミリー・カールソン。第2のエドガー、ユリ・ゲラーの再来と呼ばれてきた。そしてサイキックの少女という別名も持つ。彼女は世界の超能力コンテストで優勝してきた子らしい。」
男はデスクにある紙を数枚広げて読み上げた。
「でも何でまたその少女が男達といるのでしょうか?家族には見えないのですが?」
警官はため息をついて言った。
「私も同感である。だからお前に頼んだのだ。お前に成し遂げてもらいたいのはただ一つ。あの少女を捕まえるのだ!」
「あの少女を捕まえる?」
「何が何でもだ。わかったか?」
「はい、やってみます。」
男から指令を受けた警官は頭を下げて部屋を出て行った。
「しくじりやがって。手間を取らせるんじゃない!」
男は警官が去って行った後にデスクに拳を握り締めていた。
★★★
エミリー達は車に乗り研究室へと戻っていた。彼らはやり切ったという顔で一杯だった。
「明日のニュースが楽しみだな。」
手を頭の後ろで組んで歩きながらメイソンが笑う。
「新聞でどんな記事になるかだな。あの教授はイギリスでは有名な教授だったらしいぞ!」
暗証番号を入力して研究室の中に入ると今日の成果を称えた。
「みんなよくやった!しかし気を緩めてはいけない。」
「やりましたね。」
ベンジャミンがみんなに拍手を送った。
「ああ、そうだな。そう言えばこの研究室に最初に入った時にエミリーが拡散したウィルスはどうなったかな?」
ジャックはモニターを付けて確認した。
「すごいね!イギリス中ウィルスだらけだね。」
エミリーは目を輝かせた。
「残念ながら王室周辺までは届かなかったようだな。」
ジャックは少し肩を落とした。
「なんかそのウィルス対策とかでイギリス政府から国民に支持が出てるんだってよ。」
メイソンがジャックに代わりモニターを操作した。
「こんなんで防げたらとっくにウィルスは静まってるはずよね?イギリス政府は対策が甘いわね。」
エミリーはモニターを見て鼻で笑った。
それにみんなが笑った。
「あはは、確かにな。」