第4章 必ずしも正義が勝つとは限らない?
そしてエミリー達は教授の部屋の近くまで来た。
「それでは本日のオープンキャンパスの午前中の部はこれで終了となります。この後ですがお昼を挟みまして午後は講義と説明会となります。」
大学院生はにこやかにそう言った。
「ありがとうございます。凄くためになりました。」
3人は大学院生が去って行くのを確認するとジャックと連絡を取った。
「今教授の部屋の近くにいる。ロビーの所だ。」
「了解です。エミリーに伝えて欲しい。これから俺達が教授の部屋をでたらスズランの花を部屋に通してくれとな。」
ジャックはベンジャミンにそう指示した。
「わかった。」
暫くしてジャックとメイソンが教授の部屋から出てきた。
「他のみんなは怪しまれない様に散らばって見張りをしてくれ。」
「了解しました。」
ロビーにはジャックとエミリーが残り他のみんなは見張りのために散らばった。
「エミリー準備はいいな?」
「任せといて。」
エミリーはジャックの言葉に頷いた。
そしてまず教授の部屋を透視した。
「なるほど。教授は今顕微鏡を使って調べものをしているわ。その隙に花瓶に生けてあるガーベラをスズランの花と変えましょう。」
エミリーは確認すると早速実行へと移った。
花瓶からそっとガーベラの花を抜き取りスズランの花と入れ替えることに成功した。
「エミリー教授の様子はどうだ?」
ジャックがエミリーに聞いた。
「首を傾げているわ。花瓶に生けてある花が違うんで驚いているんだわ。」
エミリーはくすりと笑った。
「でもここからが問題ね。教授の体の中にスズランの花を取り込むには?あら、教授がポットからティーカップに紅茶を注ぎ始めたわ。砂糖の入れ物を探している時がチャンスよ。」
エミリーは教授の隙をついてスズランの花を紅茶に入れた。
作戦は成功だった。
教授は砂糖の入れ物を見つけふたを開けると何食わぬ顔で砂糖を2つティーカップに入れスプーンでかき混ぜて紅茶を飲んだのである。
「うっ!」
紅茶を一口飲んだとたん教授の体が震え出した。
ティーカップは机から床に転がり割れた。
パリーンというガラスが割れる音が部屋中に響いた。
そしてしばらくし教授はぐったりと机に顔を伏せた。