第4章 必ずしも正義が勝つとは限らない?
それからみんなはスズラン大作戦に乗り出した。
ジャックはいつ何が起きてもいいように銃の使い方を教えてやろうとエミリーに言った。
「ジャック、ごめんなさい。その必要はないわ。だってマーティン・ブライアントが私に教えてくれたの。」
エミリーはそう言って銃を構えてテーブルの上の箱をめがけて引き金を引いた。
バアァン
エミリーの放った銃声が部屋の中に響き渡った。
「おおー、なかなかやるじゃん。」
メイソンとベンジャミンが嬉しそうに手を叩いた。
「エミリーは全く、大したものだよ。昔の人から知恵を得たって訳だね。」
ジャックはお手上げのポーズをした。
「でも私だってジャックには敵わないもの。」
エミリーは割れた段ボールの欠片をゴミ箱に捨てながら笑顔で言った。
「そうだな。でもエミリー、超能力で銃は撃てるかい?」
ジャックはエミリーに不思議そうに聞いた。
「それは試したことないわね。私にできるかしら?私ができるのは物を動かすことだけよ。宙に浮かせることはできても引き金まで引けるかどうか。」
エミリーは考えながら言った。
ーみんなが私の事を称えている。やればできるじゃんって。でもジャックには敵わないしマーティンだって・・・私、彼に会いたいわ。マーティンに聞きたいことが沢山あるわ。彼は今オーストラリアの刑務所にいるのかしらね?彼は死んだの?自殺は未遂に終わったって聞いたけど。どこにいるの?いるなら返事してよ。私はここよ。あなたの過去を見たんだからー
「私、マーティンに会いたい・・・。」
エミリーはこの時彼に会いたいという願いをより一層強めた。
「それは無理だろうな。ここからオーストラリアは遠すぎるぞ。でも会ってどうするんだ?エミリーが彼に会えば怪しまれるし俺達の今までの功績だってばれちゃうんだぞ。おい、エミリー?」
ジャックはエミリーに今はダメだと言い聞かせた。
「聞きたいことがあったんだけどな。ご、ごめんなさい。分かっているわ、いいのよ。別に。」
エミリーはマフィアに入り始めて涙を見せた。彼女の目から2,3粒の涙が零れ落ち、その涙を彼女は必死で拭っていた。