第4章 必ずしも正義が勝つとは限らない?
こうして仕掛けられた爆弾装置は爆発し被害は予想をはるかに超える結果となった。すぐにニュース番組に取り上げられ爆破の跡となった変わり果てた街は生中継でイギリス中に放送された。
「ふふ、段々面白くなってきたわね。」
エミリーがブラインド越しに窓の外を見るとちょうどノアがスズランの花を手にこちらに戻ってくる所だった。
「お疲れ様でした。」
「お前!年上の俺に向かって生意気じゃないか?」
ノアはいらいらしてエミリーに突っかかってきた。
「ノア、いい加減いしないか!エミリーは大事な戦略なんだ。」
ジャックはノアを厳しく叱った。
「もうどうなってるんだよ。これじゃあこいつの言う通りじゃんかよ。お前らまで超能力に洗脳されてるじゃん!」
ノアは叱られても訳が分からないのか頭を抱えて座り込んだ。その時にスズランの花束が床に落ちた。
「ノア、あなたの言いたいことはわかるわ。でもそんなに悲願でいる暇があるのなら努力して私を追い越せばいいわ。そうしたら私も認めてあげる。それに彼らは私の超能力に洗脳なんてされていないわ。本当に必要だから求めているだけよ。私が彼らを操っているわけでもないし指図だって私が独断でしていないわ。ここのリーダーを忘れたの?私ではなくてジャックじゃないの!あなたは何のためにいや、何が理由でここに入ったの?私たちは至って普通だわ。あなたの方がおかしかったりして。」
エミリーは床に落ちたスズランの花束を拾いながらくすりと笑った。
「・・・。」
ノアは無言でエミリーを見上げた。
「ほら立てよ!」
ジャックがノアに手を差し伸べたがノアは自分で立てるからと断った。
「ああ、いいさ。勝手にすればいいよ。俺は知らないからな。」
「でもスズランを買ってきてくれたってことはお前も共犯だからな。」
ベンジャミンが去って行こうとするノアの背中に釘を刺した。
「共犯?嘘だろう?」
ノアは後ろを振り返りみんなを睨んだ。
「相変わらずノアはガキだな。」
男達がノアを見てげらげら笑っていた。
「ねぇ、それより次の行動に移さないと。」
「いや、ここは少し様子を見よう。次の行動に移すのはまだ早いからな。爆破後の様子を伺いながら次の作戦を練ることにしよう。」
ジャックはエミリーの言葉を止めて作戦だけ練って次の行動は様子を見るように促した。