• テキストサイズ

ボスとマフィア

第3章 光と影


殺し方はいたってシンプルだった。背後から襲い首を絞めるというモノ。エミリーは超能力を使い縄を浮かせて縛り上げて行った。
「ひぃぃぃい~。」
女性の悲鳴が家中に響き渡っていた。
他のみんなは変装して家の中に侵入した。家の住人が寝静まったのを確認するとすぐに行動に移したのだ。
「上手くいったな。」
ジャックは車の中で運転しながら先程のことを思い出して言った。
「ですよね。エミリーがあの歌を歌ってくれたからジャックの思い付きがナイスでしたね。」
ベンジャミンが頷いた。
そしてエミリーも人を殺めることに何も抵抗が無くなったのもこの時かもしれない。
初めはしてはいけないという思いと羞恥心が心を揺さぶったが今では確執へと変わって行った。そして”楽しい”とさへ思うようになっていった。自分の思うように動いてくれる人を見ていると超能力大会のあの頃を思い出す。観客の拍手、インタビュー、注目されていく自分が嬉しかった。そんな自分が再び輝きだしたかのように思えるからだ。エミリーはすでに自分の思い通りになる快感に浸っていた。”これはただのゲームにすぎない”とジャックが以前教えてくれたことがあった。
”でも死んだ人は生き返らないの?”エミリーは聞いた。するとジャックは”魂がよみがえる時が来るんだ”と教えてくれたことがあった。しかし、なにより信頼できる仲間であり家族ができたことが嬉しかった。みんなが私を必要としてくれている、こんな感情久しぶりに感じたのだろうか?そんなことを思いながらエミリーを乗せた車は高速道路に入り走り去って行く。
「そう言えばエミリーの足のケガも良くなったんだな。」
ジャックが運転しながら聞いた。
「うん、お陰様で。みんなありがとうね。」
エミリーは小さく頷いて答えると疲れてしまったのか眠りに入った。
「とうとう、寝ちまったか。でもジャックはどこで寝るんですか?」
メイソンがジャックに聞いた。
「ああ。どこかのコインパーキングで仮眠でも取るよ。心配するな。車の事故だけは避けたいからな。」
ジャックはそう言うとスピードを上げて高速道路を駆け抜けて行った。



/ 120ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp