第2章 新しい世界の始まり
「ねえ、あの檀上にいた人どこにいっちゃったんだろう?」
エミリーはジャックの服の袖を引っ張って聞いた。
「あそこだ。会場を後にするぞ。後を追ってみよう。」
「うん。」
エミリーとジャックは男性の後を追いかけた。
会場を出て広い廊下に出ると男性は階段を上がって2階へ行った。
「誰も見てないよね?」
不安が募るエミリーにジャックが”見張りをつけてあるから大丈夫だ”と言った。
「忘れ物を取りに来たってことにしとけばいいさ。ほら、上がるぞ。」
「うん。」
2人は男性に続いて2階へ上がると男性の行動を確認しながら進んだ。
「あの部屋に入って行くのか。」
ジャックが遠くを見ると奥の会議室へ男性が入って行くのが見えた。エミリーも男性が会議室へ入って行くのを確認した。
「部屋の中を確認してみるね。」
エミリーはそう言って会議室の近くに行くとじっと目をこらえて見張った。すると会議室の中が見えてきた。
「ここから何をすればいいの?」
エミリーはジャックに小声で聞いた。
「近くに刃物か毒物はあるか?」
「えっと。男性が机の引き出しを開けたよ。あっハサミがあるけど使えるかな?」
エミリーはハサミを見つけてそう言った。
「エミリー、向こうに大きなカバンがあるだだろう?あれをハサミで引き裂くのさ。」
「うん、やってみるね。」
ビリビリ~
「うわあ、なんだなんだ??」
男性はカバンが破れている光景に頭の中が真っ白になって腰を抜かしてしまった。
その隙にエミリーは部屋の中をくまなく探した。そして果物ナイフを見つけると男性を切り刻んでいった。
「カバンの中の金をよこせ。」
「OK!!」
こうして2人は計画通りに進むとお金をジャックの持っていたカバンに詰めて会場へ戻った。
「みんな、帰るぞ。」
そして会場を後にすると跡形もなく車に乗り込み去って行った。
「今回もうまくいきましたね。」
メイソンが笑顔で会場に手を振った。
「どうしよう・・・。」
車の中でエミリーは大変なことをしてしまったことに気が付いた。でもそう思った時にはすでに遅かったのである。