第9章 交差する闇、絶壁の霹靂
えっ、体が動かない・・・。
エミリーは心の中でそう呟いた。口を開けて話したいけれど口が思うように開かない。
何をするの?私は今どこに?
気がついた時には寝台に乗せられていて腕と足は鎖で繋がれていた。周りをよく見渡すと研究室のような場所だとわかった。
ここから逃げるにはどうすれば?よく見ると腕のあたりに鎖に繋がれた鍵穴を見つけた。
この鍵穴に入る鍵を探せばいいのね。そう思って千里眼を使って鍵を探すことになった。
どこにあるんだろう?
すると男たちの足音がしてこちらに入ってきた。
「この子、どうしますか?」
「実験台にするつもりだ。脳をかち割って頭の中を調べるかそれともー。あー申し訳ないね。君が寝てる間にレントゲンは撮らせてもらったよ。実にいいのが撮れた。でもこれだけでは満足いく結果になっていないからな。君の頭をかち割ることにしたんだ。」
左の男が笑いながらそう言った。左の男は腕に包帯を巻いていた。
「でもこの女を生かしておかないともったいないっすよ。だって世界が認めた超能力者ですよ?他にいい方法ないっすかね。」
右の男が首を傾げて聞いた。右の男は太々しい顔をしていてやや腹が出ていた。
「それもそうだな。実はそう思って私の言いなりになる薬を作ってきたんだ。今から取ってくるからそこで待っていなさい。」
男達が笑いながら去って行ったのを確認したエミリーは一刻も早く鍵を探さなければいけないと思った。
早く鍵を探さなくちゃと、思い隈なく部屋を見回したが特に鍵らしいものはなかった。
それでは隣の部屋は?それともまた隣?
男達がいつ戻ってくるのかわからない状況の中、他の部屋も必死に探した。
ん?あの奥の部屋に光るものがあるわ。鍵だ!
エミリーは鍵に目をつけて千里眼で少しずつ自分のいる部屋に鍵を移動して行った。