第9章 交差する闇、絶壁の霹靂
タイムリミットまで迫っていると思った。俺はエミリーを何が何でも探してみせる!ジャックはそう意気込んでトランシーバーをズボンの前ポケットに突っ込んで走り出した。
「どこ行ったんだろう?」
そう遠くは行ってないはずだ。はぁはぁと段々と息が切れてきた。
「誰かに書 聞き出す訳にはいかないし。くそーっ!」
今は小さな声で呟くしかない。俺は仲間と連絡を取りながら色んな場所を探した。
「そういえば、路地裏は探してないな。」
あの場所が怪しい。ふと見つけた場所に入ってみた。
「こんな所があったなんてな。」
路地裏はとても狭く薄暗く人気はなかった。石畳の上を歩くとカツカツと靴の音がする。路地裏を出るとお店はどこも閉まっていた。
エミリーはどこに行きやがった?
どこかに監禁されたのか?それとももう・・・。いやまだ可能性はあるはずだ。俺は信じてエミリーを探すことに集中することにした。
「それにしてもお店どこもやってないなー。まぁ、やってない方がいいのか?」
とぼとぼと歩いているとポケットの中のトランシーバーが鳴った。
「誰だ?」
トランシーバーを手に取るとベンジャミンから連絡が来ていた。手がかりが掴めたようだ。
「もしもし?掴めたか?えっ?エミリーの履いてた靴が落ちてた?」
ベンジャミンの話だとエミリーの履いていた靴の片方が落ちていたらしい。サイズも見たがエミリーのもので間違いないそうだ。シンデレラかよ!
まぁいいけど。ってことは靴が落ちていたということはその方角に行ったということだろうか?
「靴は拾ってベンジャミンが持っていてくれ。俺もそっちに向かう!」
ベンジャミンと連絡を切って路地裏から出ようとした。
「あれ?ここさっきも来たぞ!いや違うこっちか?」
やばい、いい大人がまさか迷子?な訳ないよな・・・。俺は心が焦っているのがわかり足を早めた。