第1章 プロローグ
こうして両親の確執が始まった。離婚届は書いてあとは提出するのみとなった。
「離婚したら子供たちは私が引き取って育てるわ。」
と母は一歩も譲らない。
「気が気じゃないな。母さんには無理だろう。」
と父は首を横に振る。
「無理じゃないわよ!」
と気を荒立てる母は少し狂っているように見えた。
そんな妻に彼は一生懸命に話し合いを求めようとした。しかし彼女は聞く耳を持たなかった。終いにはお酒を飲み、カルト集団にのめり込む。そんな彼女を見ていられなかったし、なにより子供達を守らないといけないという思いが強くなっていった。そして渋々離婚届を提出して裁判所へ向かった。
「お父さん・・・どうしても離婚しなきゃダメ?」
エミリーは不安そうに父に聞いた。
「そうだな。でも大丈夫だよ。母さんと話をつけてくるからな。」
父はエミリーの頭を撫でて言った。そして寂しそうな背中を向けて裁判所へ向かっていった。そしてエミリーは兄と手をつなぎ父の後を追った。エミリーと兄は傍聴席で聞くために裁判所へ入るのだ。
そして裁判所に入ると異様な空気に包まれた。
離婚裁判に必要なのは以下の通りである。
1.離婚裁判の訴状
2.離婚調停不成立調書
3.夫婦それぞれの戸籍謄本
こうして離婚裁判が始まった。
この街での親権に関しては、現在は、子どもの幸せが優先的に考慮された上で、Joint Custodyが最も好まれている選択になっています。離婚に際して、”子どもは絶対に渡さない”というような脅し的なことを言う配偶者も多いようですが、たとえ不貞などの非がある配偶者でさえ親権を得ることのできる昨今、まったく自分には非のない離婚で子どもの親権を100%失ってしまうことはありえないでしょう。
そして子供が幼くよっぽどのことがない限り100%父親に親権与えられることはありません。