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ボスとマフィア

第9章 交差する闇、絶壁の霹靂


「うっ、うんっ、ぐぬぬぬぬー。」
エミリーは気が付いたら四角い部屋にいた。壁が鉄でできていて腕と足が鉄のブレスネットで留めてあり、体中に鎖が巻き付けて鉄の壁に張り付いていた。

これじゃトイレに行けないじゃない!どうしてくれるのよ!エミリーはそう思いながら力いっぱいに鎖を外そうと試みたけど無駄だった。物を浮かして取ろうにも浮かべる物がないこの部屋では千里眼は無理そうだと諦めることにした。

この部屋には小さな窓が天井付近につけられていてトイレが隅に置いてあり鉄のドアがあるだけ。鉄のドアはガッチリと鍵で閉められていた。

「はぁはぁ。それにスペイン語がわからないんじゃ話にならないわ。どうしよう?」
さすがのエミリーでも言葉は操れない。エミリーが途方に暮れていると鉄のドアがガチャリと音を立てて開いた。

ドアから光が差し込んで男が入ってきた。今度は連れ去られた時とは別の男が入ってきた。
「大人しくしていろ!大人しく鎖に繋がれることごできたら3つのことを許可する!」
男はエミリーに向かって叫んだ。
「ぐぬぬぬー!」
エミリーは最初は暴れようとした。それに口にはガムテープが貼り付けてある。今は抵抗するのをやめて男の話を聞いた。
「1.トイレに行く際は足元の赤いボタンを押せ!まぁ、その足で押せるかな。あはははっ!押せたら手首に長い鎖をつけてトイレまで移動してもらうぞ。」
男は大きな声で誇らしげに笑った。
「2.朝昼晩と食事は運ぼう。君に死なれたら困るんでね。エミリー・カールソン。」
なぜ私の名前を・・・と思ったけどまぁ、国際指名手配じゃ知ってるよな?エミリーはそう思いながら話を聞いた。
「そして3つ目!毎日10分間のシャワータイムを与えよう。着替えと髪を乾かすのも含まれての時間だ!もしこの時間をロスしたら時間をもっと短くするぞ!いいな?」
男の言葉にエミリーは睨みを効かせた。
「あはははっ、そうやって睨んでも無駄だよ。それにここには千里眼も浮力も効かないんだからね。だって鉄の壁の何を見る?窓は鉄格子で見える範囲内も限られてるのに?あはははっ。」
男が笑いながら去って行ったのをエミリーは恨めしそうに見ていた。

そして鉄のドアがまたガチャリと閉まる音がした。
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