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ボスとマフィア

第9章 交差する闇、絶壁の霹靂


それからどのくらい時間が経ったのだろうか?エミリーはここから脱出するべく頭を働かそうとした。しかしダメだと分かると壁にもたれかかったままで天井を見上げていた。

やばい、トイレに行きたい。エミリーはそう思って僅かに残っている力の足で足元の赤いボタンを押した。

ブーッと音が鳴り先程の男が入ってきた。エミリーの手枷を外して鎖をつけている。

「さぁ、トイレに行くんだ!」
えっ、どうして?エミリーは目を疑ったがどうやら男が見ている前で用を足さなければならないことに気づいた。
しかたなくスカートをめくってパンツを下ろしてトイレの便座に座った。トイレ中も音が丸聞こえで配慮に欠けていた。恥ずかしがりながらトイレを済ませたエミリーは男に手をブラブラさせてジェスチャーを送った。
「鎖を外せと?それは無理に決まってるだろ!」
男が叫んだ。
エミリーは首を横に振って手をぶらぶらさせた後に手を合わせて擦る動作をした。
「ああ、手を洗いたいのか。それくらいは我慢しろ!ここは洗面台はないんでね。洗面台を置くと君が何を仕出かすかわからないからな。手ならシャワーの時にきれいにしなさい!済んだら元の位置に戻れ!」
男に怒鳴られて渋々元の位置にエミリーが戻ると手枷をはめられてまたドアが閉じられた。

またかよとエミリーはため息をつくように思った。
鼻では息はできるが口が塞がれているため言葉が出ない。まさか食事中も監視されないといけないのか?こんなのあんまりすぎる。

あいつらは何が目的なんだろう?でもこのままじゃ即警察行き?そんなの嫌だーー!私は誰も信じないんだぁー!心の中で叫んでも無駄だとわかっているのにこうでもしないと理性が保てないとエミリーは思った。
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