第9章 3月 【柔らかな風の吹く日に】黒バス/青峰/and more
合格を確認した青峰は、気付いたらノトの手を引いていた。
小さくて柔らかな手は俺の手を優しく握り返してくる。
はっ、それだけで気分が舞い上がる俺は、コイツをどれだけ愛おしく思ってんだろうな。
向かった先は、普段ならバスケ部が朝から晩まで練習に明け暮れている体育館だった。
いま、ようやく受け入れ始めた自分の居場所を
これからノトと多くの時間を過ごす場所を
ただなんとなく、見せたい気分だった。
「ま、今日は閉まってんだけどな」
体育館の外と中を繋ぐ扉に手をかける。
すると、鈍い音とともに僅かに動き驚いた。
「カギ、閉め忘れかよ…」
扉が開いたその奥にあるバスケットゴールが、2人の目に飛び込んできた。