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サンロクゴ

第9章 3月 【柔らかな風の吹く日に】黒バス/青峰/and more




桐皇学園、惜しくも不合格だった…
そんなあなたへ送る、おまけのページ(・ω・)ノ





【小さな春を見つけました】火神大我





誠凛高校、桜舞う始業日、放課後。
今日は各部活がブースを展開し、新入生の歓迎に張り切っている。



バスケ部に入るべく教室を出ようとした新入生の火神大我は、制服の袖が何かに引っかかり振り返った。



そこにいたのは、中学時代のクラスメート、海老沢ノトだった。




ノトは頬を赤く染め照れながら、背の高い火神の制服の袖を掴んでいる。
火神は何が起こっているのかと戸惑い息を飲んだ。
中学のとき、彼女と言葉を交わした記憶はほとんどない。





ノトは本命高校入試の日、朝から高熱でうなされていた。
まさか熱があるから受験を辞めるなんてできなくて、「熱はない」と自分に言い聞かせながら臨んだ入試だったが、ほとんど眠ってしまい問題が解けなかったのだ。

ノトはスベリ止めの誠凛に入ることになったのだが友達は誰もおらず、ひとりぼっちに明け暮れていた。
そこで見つけた唯一の顔見知りが嬉しくて、慌てて声をかけたのだった。




「火神くん、新歓行くの?」
「…あ、ああ」
「私もついてって、いいかな」
「俺バスケしか行かねぇけど、いいのか?」
「う、うん、いいよ、ありがとう!」













火神はノトに歩幅を合わせることはなく、どんどん先に進んでいく。
ときどき後ろを振り返り、心配はしてくれるのだけれど、だったら隣を歩いてくれたらいいのにと思う。

「早いよ、火神くん」

ノトは早足で駆け出し、火神の制服の袖を再び掴んだ。

「…悪い」
「…こちらこそ、ついてきてごめんなさい」

ぎこちない2人は、付かず離れずの距離を保っている。










その後ノトはやり手のカントクに乗せられて、バスケ部のマネージャーになることとなる。
後に火神のプレーを目の当たりにして、バスケにどんどんのめり込んでいく。






この日見つけた小さな春はまだまだ青い蕾だけれど、最後に花を結ぶかどうかは、私次第。







END





(受験生のみなさま、お疲れ様でした!
希望に満ち溢れた新生活が、ハッピーなものになりますように♡)

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