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サンロクゴ

第8章 1月【二人きりの夜ばなし】黒子のバスケ/青峰大輝



キスを待っていたら、力強く鼻を摘まれた。
顔を横に振って青峰さんの手が離れたと思えば、今度は顔に毛糸が擦れていく。
唇が触れ合うことはなく、スヌードが首元から外れて急に寒くなった。



「バァカ、キスする訳ねぇだろーが」




冗談!?
ああ、そうだ、そうだよね。
だっていつも黄瀬さんをからかって遊んでた、青峰さんだもん。
期待してしまったことが恥ずかしくて頬を両手で覆う。
今すぐ家にダッシュで帰りたい。



「お前、俺のこと好きだろ」
「!」


あー、もう、全力で首を横に振るつもりが、間違って全力で縦に振る。
違うよ、違わないけど!
気持ちを伝える予定は、なかったのに。


「やっぱりな。キスは合格祝いまで取っとかねーと」


…え。


私の答えをお気に召したのかご機嫌な青峰さんは、スヌードを手に持ったまま私を抱きしめる。

今までに脳に刻んだ全てが吹き飛んで、目に見える景色の全てが変わってしまうんじゃないかってくらい、それは私の胸を衝く出来事だった。
青峰さんの心臓にくっついた私の耳は、その速い鼓動を確かめた。
これは、夢じゃない。




「必ず受かれよ、ノト」





私はどれだけ、青峰さんのことが好きなんだろう。
好きな人を思えば、挫けそうになっても、最後まで走り切ることができる気がしてる。
桐皇学園高校入試の日まで、残り僅か、ラストスパートです。







END






(がんばれ受験生(・ω・)ノ♡)

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