第8章 1月【二人きりの夜ばなし】黒子のバスケ/青峰大輝
今、私は慌てて着替えている。
髪をブラシで溶かして、ベリーの香りのピンクのリップを念入りに塗って、服はまぁ適当だけど、お気に入りのコートを羽織る。
「コンビニ行ってくるね!」
家を飛び出す数分前。
『青峰大輝』の名前をタップし耳にあてる。
すると機械の向こうから、低くてはっきりした、恋い焦がれた声が聞こえてきた。
夢みたいで、上手く話せていたか自信がない。
「どうしたんですか!?」
『今お前んちの近くにいるから、ちょっと来い』
後になって考えれば、こんな急な呼び出し、非常識だよね。
でも、青峰さんだから。
嬉しすぎて、心は舞い上がって、待ち合わせ場所のコンビニまで走っていた。