第7章 7月【星降る夜、君とふたりぼっち】スラムダンク/三井寿
再び体育館、湘北バスケ部メンバーが映し出され、赤木の手からお願いしますと右に回されたボールの先にいたのは、安西先生だった。
『三井くん、ノトさん、ご結婚、おめでとうございます』
「安西先生…!」
毎週のように会っているというのに、やはり恩師からのメッセージというのは嬉しいようで、三井は背筋をピンと伸ばしている。
『あまり表には出しませんが、バスケに対して一途で熱い気持ちを持っている三井くんです。ノトさんのことも、きっと一生かけて大切にしてくれますよ。お幸せに』
「…はい」
招待したが今日は来られなかった安西先生。
画面に向かって三井は深くお辞儀をした。
『あなたもどうですか?ほっほっほ』
安西先生はカメラの方に向かってボールを投げる。
バシッとボールをキャッチする音が大きく響いた。
カメラが横を向けば、そこには戸惑う堀田のアップが映り込む。
『近いよ堀田、しゃべるなら下がって!』
黒木の声が響けば、堀田は慌てて画面の後方に引いていく。
『えっと…み、三井クンの親父さんもお袋さんも見てるし、俺は喋るつもりはなかったんスけど…。一度ヤンチャ始めたら、フツーに戻んのはすげぇ難しくて…。その…俺はみっちゃんを心から尊敬してる。バスケしてるみっちゃんが好きだぜ!ノトちゃんのことは絶対泣かせんじゃねぇぞ、みっちゃん!』
ノトはふと、遠くにいる三井の母親を見つめた。
目にハンカチを当てて、泣いている。
小さい時から今に至るまで、1人の息子を育て上げたストーリーには、苦難と喜びが詰まっているのだろう。
それはきっと、私の両親だって、同じなんだろう。
画面に目を戻せば、黒木に促された堀田が右側にバスケットボールを投げている。
思いが、繋がれていく。