第7章 7月【星降る夜、君とふたりぼっち】スラムダンク/三井寿
「7月の何日?空けとくから」
「1年後ぉ!?遠くねぇか?」
「……本当は、やりたくないんだよね、披露宴」
なぜ日取りが来年の7月であるのか。
それはノトの父親の都合だった。
先日の食事会にて、複数の会社を経営する父はお招きするゲストの都合があるから披露宴を1年後にしてくれと申し出た。
それを聞いた三井家の両親は口をぽかんと開けている。
『お父さん、ゲストは私たちで決めるんだよ』
『駄目だ。娘のお披露目はしなければならない。それは例え、三井くんが私の決めた夫でなくてもだ』
出た。大嫌いな、頑固親父。
「どうせ私たちのことはそっちのけで、名刺交換で騒がしくなるの。三井のことは、『どこぞの財閥の御曹司かと思いました』なんて嫌味を言われるのが、目に見えてる」
「オジョーも大変だね。中止しちゃえば?」
「どうせ、みっちゃんが『やる』って言ってきかねんだろ?」
堀田クン、大当たり。
そうなのと大声を出そうと息を吸い込んだ瞬間、店に響いた店員の「いらっしゃいませ」の声。
わりぃ遅くなったと息を切らして駆けつけたのは、つなぎの作業着のまま慌ててやってきた、三井だった。