第6章 6月【てるてるぼうずを作ろう】ワンピース/ルフィ
「すげー人だな、この島。ガキも多くねぇか?」
メインストリートの端に辿り着くまでに、人の波間が途絶えることはなかった。
幸せに満ちたカップルや子ども連れのファミリーが多く、そのほとんどが観光客だ。
「ここで挙式をした人は、子どもを連れてまた遊びに来る人が多いの。幸せな気持ちを感じたところには何度だって行きたいと思うのよ。この島の財源はほとんどが観光収入で…」
「おい、何が言いてんだ」
難しい話に眉をひそめ、むすっとするルフィの様子にノトは微笑んだ。
「ごめんなさい。つまり『観光資源』である私は、島から出られないわ」
人の本能を高ぶらせるテンプテーションを起こすキラウィは、キラウィとしか子を授からない。
そんなの濃い血筋を残すための、偉い人が作った嘘なのかもしれない。
それでも島のために、私はここから出ることも自由に恋をすることも許されない。
「…なんで、自分のこと物みてぇに言うんだよ。お前がこの島が好きなら残ればいい。そうじゃねぇなら俺が連れ出してやる」
運命は変えられるって、大人は教えてくれなかった。
だからキラウィの宿命には逆らえない。そう思っていた。