第6章 6月【てるてるぼうずを作ろう】ワンピース/ルフィ
ルフィが選んだ道、小高い丘まで真っ直ぐに伸びるメインストリートはたくさんの人で溢れていた。2人は人の波間を潜るように歩く。
その中でも大きな賑わいを見せる中心部に差し掛かると、ノトはルフィと逸れてしまわぬようにと握る手に力を込めた。
手を引かれるままに連れられたノトは、急に立ち止まったルフィの背中にぶつかる。
彼の送る視線の先にいたのは、鼻の長い狙撃手。
「いいか、的を狙う時はなぁ。まず脇をしめる!」
「おう!」
オモチャの銃を構えるウソップを小さな男の子たちが取り囲んでいた。
その銃口は巨大な恐竜のフィギュアを狙っている。
次は俺!とはしゃぐ子。銃は手にないのにウソップを真似する子。彼らは皆観光で遊びに来た客たちだった。
子どもたちの見た目は多様であるのにヒーロー・ウソップを見つめる目は一様に輝いていて、微笑ましい。
「そんで。大物を狙うなら、まずは…」
「ウソップ!すげー、楽しそうだなー!」
「ルフィ!」
ルフィの声に振り向き狙撃を止めてしまったウソップに、子どもたちは早くと詰め寄り服の裾を引いた。
「分ーかった分かった…ルフィ悪ぃな。アレを取んのが先だ。男の約束ってヤツだ」
「シシシ、そうか。ウソップ、俺結婚するから」
「へー、幸せに……えぇぇぇぇ!?」
ルフィはノトの手を引き再び小高い丘へと向かっていく。
「あの…ルフィが!?」
ウソップは信じられないと目を見張り、去り行く2人の背中を見つめていた。