第6章 6月【てるてるぼうずを作ろう】ワンピース/ルフィ
ルフィはノトの手を握って離さなかった。
決して痛くはないけれど力がこもり、熱くて大きな掌だった。
なぜあの丘に行くのかと尋ねれば、幸せになりてんだろ?って無垢に笑っている。
でも今向かうのは丘の方ではない。
彼は海賊。
出会ったばかりの人。
けれど不思議と、怖くない。
このまま彼の足が向かう方へ、付いていきたい。
2人が辿り着いたのは波止場に留まるサニー号。
ルフィは船に向かいおーいと大きな声をあげた。
すると機嫌を悪そうに頭を掻きながら起きてきた船番は、腰に剣を3本刺した目つきの悪い男だった。
「誰もいねーのか」
「俺がいんだろ!チッ、せっかく静かに寝れると思ったのに…なんだよ、フランキーならまだ戻ってねぇぞ」
クルーが1人であったことにルフィは残念そうな顔を浮かべながらも、一応報告したいからと大きく息を吸う。
「ゾロ、俺ノトと結婚する!」
「……はぁぁぁ!?」
ニシシと笑うルフィは、ぐっとノトを自分の肩に引き寄せた。
「……えぇぇぇぇぇ!?」
顎が外れそうなくらい開けた口から飛び出したノトの驚きの声に、耳元でデカイ声だすなよとルフィは不満そうだ。