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サンロクゴ

第6章 6月【てるてるぼうずを作ろう】ワンピース/ルフィ






ノトがルフィに伝えたことは、愛していた人を失ったという簡潔な結果だけ。


「だから、幸せな結婚式は雨と一緒に全部流れちゃえばいいのにって思ったりする。気づけばテルテルボーズを作って、部屋で逆さまにぶら下げてる。最低でしょ?」
「そーゆーの、よく分かんねえ。俺したことねーんだ、恋ってヤツ」


顔色ひとつ変えず肉を頬張り続けるルフィの返事にノトは耳を疑った。
彼の顔や体つきを見るに、20歳前後だろう。
恋心のひとつも抱かぬ男はこの世にいるのか。
それはこの幸せな島で幼い頃から過ごしてきた故のステレオタイプなのだろうか。




「1度も、恋したことないの?」
「わっかんねぇ。でもなりてーものならあるぞ」



何?とノトが問えば、彼は口の中に詰めた肉を急いで飲み込み、屈託のない笑みを浮かべる。



「海賊王」



彼は本気だ。
瞳を見れば、よく伝わる。



それは愛していたあの人を思い起こさせた。
本当に結婚したいのだと言っていた、あの人の瞳。
ノトはその輝きから逃げるように目を逸らしごまかし続けていた。

振り返れば、どうしてあの時、一緒に本気になれなかったんだろう。




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