第3章 3月【第二ボタンは誰のもの】黒子のバスケ/青峰&???
黒子の後ろ姿は、ノトが恋い焦がれるあの人とはだいぶ異なっていた。
ふわりとした髪、白いうなじ、背の高さも背中の広さもまるで違う。
でも掌の熱さだけは、青峰と同じ温度がした。
ノトが黒子に手を引かれ連れられたのは、近くの公園。
奥にはバスケットコートが。黒子にとってもここは青春を過ごした場所なのだろう。
「ノトさん、急にすみません。でもどうしても今、伝えたかったんです」
黒子の瞳は柔らかく、でも芯がある。
いつもは影の薄い彼の揺らぐその瞳に、このまま吸い込まれてしまいそうだ。
あれは、黒子とたまたま2人きりになったとき。
『青峰くんのこと、好きなんですか?』
何の話がきっかけだったのかは忘れてしまった。
しかしノトの思いをピタリとあてた彼はまるで占い師のようで、すごいと騒いだことは覚えている。
何かある度、ノトはすぐ彼に恋の相談をした。
欲しい言葉を、必ずくれた。
なぜか彼には、青峰の気持ちもノトの気持ちも手に取るように分かるらしい。
「実は、初めて2人きりになれたときラッキーだと思いました。でもすぐに、落ち込みました」
黒子の真剣な瞳がこの先言いたいことは、まさか。
「でも話せば話すほど、仲良くなるほどに、もっと好きになってしまいました」
その真っ直ぐな想いを、下手に誤魔化すことなんてできなくて。
ノトの胸の鼓動が高鳴っていく。
「一目見たときから、好きでした」
思いもよらぬ人からの告白に、パニック。
「私は、私は…」
「…ずっと揺るぐことのなかった、一途なノトさんも大好きです」
私が好きなのはーー