第2章 スターゲイザー
「彼女のお助けかな?、夏目」
余裕そうな笑いを鼻から吐き出して、男たちは言う。
「そんなんじゃないわ、ただの」
「そうよ。まだ彼女じゃないの」
あ?、男たちとワシの声が被る。怪訝な顔を、やはり気にも止めずに天川はこちらに向かって歩く。
「でもね、彼女になるのよ、もう少しで」
リーダー格の男の腕をそっと掴んで魅惑的な微笑みを見せた。
と、思ったら急にその腕を捻り上げる。
面食らっていた男の、いでで、という情けない声が校舎裏に響いた。
なんじゃ、この、女は。
涼しげな顔で取り巻き連中を眺め回すと、天川は掴んだ腕を流麗な動作で思い切り放る。
男が一瞬宙を舞って土に落ちる。
それは瞬く間の出来事だった。