第2章 スターゲイザー
「っ!げほ、」
まずは鳩尾に一発。息が詰まって咳き込む。
ニヤニヤ笑いを浮かべたままの男は満足げにワシを見下ろした。
「思い出したかよ、夏目くん?こないだは世話んなったな」
どうやらワシが入部以前に相手にしたらしい。
そんなもん、いちいち覚えてられんわ。
「知らんわ、誰じゃお前」
男の眉が引きつる。手が拳を作って振り上げられる。耐える痛み…上等じゃが、正当防衛くらいなら許してくれるかの。
向かってくる腕を掴もうとした時だった。
「夏目くん、喧嘩はしないんじゃかったの?」
あの、鈴の声。
声の主を探すと、そいつは何時の間にか男たちの背後に立っていた。
黒髪が風に靡く。相変わらず静かな笑みを浮かべていた。