第2章 スターゲイザー
結局、天川は放課後になっても姿を現さなかった。予言めいたことを言っておきながら、ずいぶん出来の悪い宇宙人じゃ。
なんのことない、あいつはやはり只の変な女だったんじゃ。
中身のない薄っぺらな鞄を手に、校門を出ようとした時だった。
「おい、待てよ」
威圧的な男の声。振り向いた先にはなんとも雑魚感ただよう数人の男子生徒。
ニヤニヤと下衆い笑いを浮かべているそいつらは、靴の踵を地面に擦りながらワシを取り囲んだ。
「夏目、ちょっと付き合えよ、なあ?」
「誰じゃお前ら」
「覚えてねーって?…ま、どうでもいいか。来いよ」
リーダー格であろう茶髪のヤンキーはワシの肩に手をかけて校舎の裏をさした。ご丁寧にポケットからサックを覗かせている。
誰かはまったく知らんが…ワシに恨みがあるようじゃの。
バスケ部に入部して以来ケンカはしていないが、ただ殴られるだけでもさすがに校門はまずい。
ワシは大人しくそいつらについて行くことにした。