第2章 スターゲイザー
あの女、天川の言う木曜日が来た。
あの日以来天川は現れておらず、これまでと同様に廊下で見かけることもなかった。
ただ、チビが言うには天川は校内では割と有名で、それは変な女だからとかではなくて、清楚でミステリアスな美人、という評判らしい。
…ミステリアス。良い方に捉えすぎじゃろ。
「トビくん、天川さんと知り合いなの!?ずるいよ!紹介してよ!」
チビが唾を飛ばしながら言った直後に、いやでも僕には円さんが、と言葉を濁らせていたのを思い出した。
なるほどな、確かに美人じゃの。性格に難はあるが、あのオトコどもの視線にも頷けるワ。
ざわつく視線を纏いながらそれをかわして笑いかけた天川の声が脳内再生される。
あの電波女に、ワシは洗脳されたのか。