第1章 コスモコード
「あ、あとね。夏目くんは女の子にちょっとだらしないかな。とっかえひっかえしてちゃ、愛想つかされるわよ」
「余、」
「余計なお世話?」
この女と出会って数分、ワシの不機嫌は加速していった。クスクスと喉から発せられる笑い声も、無性に腹が立つ。
睨みつけると女は嬉しそうに笑った。
なんじゃ、ドMなんか。
「夏目くん、怖い顔しちゃダメよ」
「何なんじゃお前は」
「好きなの」
突然の告白。
冗談言うにも限度があるじゃろうて。
呆れてため息が出るわ。
「ワシゃお前なんぞ知らん。見たことすらないわ」
「天川 星。一年で隣のクラス」
覚える気すらないわ、そう言おうと口を開きかけたときだった。
「ダメよ覚えて。夏目くんは私の恋人になるんだから」
俺は思わずあんぐりと口を開けたまま固まった。女、天川は満足そうに微笑んでいる。
なんじゃこの女、エスパーか。