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delivery start【KJ∞】

第6章 誰為、己為




結局、すばるさんが譲らなかったので、奢ってもらった…

「…忘れませんからね。いつか何らかの形でお返ししますからね。」

ムスッとしながらすばるさんを見る。

「おーおー。えろいの期待して待っとるわ」

悪戯顔で言う。

「でぇっ!え、えろいのですか?!普通にご飯とかじゃ…」

「あかん。えろいの。」

断固としてそこも譲らない気なの…?

えろいの…ってどんな??

「下着プレゼント?」

パッと思い浮かんだのを口に出す。

その瞬間、ブファッとすばるさんが噴き出す。

「ケホッ…!な、なんやそれwww」

「…違いました?」

「ちゃうやろ、多分?」

はー、笑ったーなんて涙目になってる。
そんなに??

「まぁ、そのうち、な。駅まで送るわ」

「いやいや!駅、ここから5分もないですよ?!すばるさんの方向と逆だし…」

駅に向かって歩きだそうとするすばるさんを止める。

「ええから。それでも、夜やし。心配やねん。
送らせろ」と優しく言われる。

その、言い方は、ずるいです。

期待、しちゃうじゃないですか。

でもすばるさんは友達として言ってるんだと言い聞かせる。

「…ありがとうございます…」

ん。と言ってわたしの手を握る。

へっ?!

勢いよく、すばるさんの顔を見るも、鼻歌まじりの御機嫌のようだったので、大人しく繋がれていた。

…わたしが、嬉しいんだ。



もちろん、駅にはすぐについてしまった。
心なしか、すばるさんの歩調がゆったりしていたように感じたけど。

「…今日は、いろいろありがとうございました」

「俺の方こそ。こんなに筑前煮、ありがとうな」

たくさんの筑前煮が入った袋を軽く持ち上げる。

「ふふっ、ちゃーんと教わったんで。またいつでも作れますよ?」

「…ええなぁ」

「?」

ボソッと言ったようで、何て言ったかまでは聞き取れなかった。

「ほな、ちゃんとまっすぐ帰るんやで?周り見てな??」

「はい。心配性なんですね、すばるさんは。」

…お兄ちゃんがいたらこんな感じなのかな?
やっぱりわたしは、妹みたいな存在でしか、ないのかな。

「霄ちゃんにだけやアホ。」

そう言い残して、振り返りざまに手を軽く振って、すばるさんは家へと歩き出した

、今、
わ、わたしにだけって、言った…?

わたしの、都合の良い幻聴?

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