第6章 誰為、己為
すばるさんと別れた後の帰り道。
ずっと、別れ際の言葉が、耳から離れないでいた。
「霄ちゃんにだけやアホ」
照れ隠しのように、アホってつけたような…
本当に、勘違いしそうになる。
そんなことないって。
期待するだけ無駄だよ。分かってる。
わかってるはずなのに…。
今日会ったばかりなのに、またすぐ、会いたくなる________
「んなッ?!」
霄ちゃんと別れて、家に入りケータイの画面をつけた。すると、実家にいる際、亮から画像が送られてきたことを思い出し、アプリを開いた。
中には、霄ちゃんがおかんのエプロンをつけて、俺の実家の台所で筑前煮を作ってる最中の写真だった。
おかんと一緒に、少しぎこちなくピースしている写真や、集中していて気付いてない霄ちゃんとおかんだけがこっちを見てピースしている写真。
亮がお願いしたのか、カメラに向かって、「あーん」としている写真もある。
なんや…この…ホーム感…
しかも撮りすぎやろ…
とりあえず、「あーん」してる写真と、作ってる最中の真剣な顔を斜めから撮った写真を、それぞれロック画面とホーム画面に設定した。
画面をつける度に頬が緩んでしまいそうだ。
予想外とは言え、すごく幸せやって感じた日やったなぁ…
そう思い、ヨコと亮にそれぞれ、一言ずつ、「ありがとう」とだけ送った。
…次はいつ、霄ちゃんに会えるんやろ…
その時の俺は、忘れていたのかもしれない。
自分では、相手への想いを隠しつつも、友達だと思っていても、
知らないやつからしたら、
芸能人と、一般の女の子ということを_____________