第6章 誰為、己為
「それ、作ったん、霄ちゃんやで。ウチが作った分は錦戸くんがほとんど食ってってん」
はっ?!むっちゃおかんの筑前煮なんやけど!
ってか、
「亮?!なんで亮?!」
「錦戸くんが霄ちゃんを連れてきてんねんで。仕事やから帰ってったけど」
は、はぁぁぁ????
ほっ、んまヨコ、あいつ何なん!てかよう亮も従ったな?!あいついっちゃんめんどくさがりそうやんけ!
「なんやもうほんま…ヨコ…」
ええことするやんけ…
多分、居酒屋で霄ちゃんが話してたこと、あれでなんかしよう思うたんやろな…
「霄ちゃん、」
急におかんが声を潜める。
「ほんま偉い子やで…むっちゃ気も利くし、人様のことをしっかり考えられる。アンタ、大事にされとるなぁ」
目を細めて、言う。
大事にされとるなぁ、って…
ブブッとケータイが震える。
「あ、それ、あとで見たがええかもしらん」
は?
「錦戸くんからやろ?」
…ほんまや。亮からや。
「あとでの楽しみにしときい。」
「…何かわかるん?画像送られてきたっぽいねんけど。」
しかもかなりの枚数。
「ふふーーーー♪」
性格の悪そうな企み顔をするおかん。
「あっ!霄ちゃん!タッパーに分けてこな!!」
バタバタとおかんも台所に向かう。
なんなんやろ…
なんや止められたし…後で見よ…。
「本当にありがとうございましたっ」
深々と頭を下げる。
「ええんやって〜!ウチもごっつ楽しかったわぁ~♡またひとりでも来てぇや?
連絡もいつでもしてなっ!!」
「はっ?!いつの間に連絡先も交換してん!」
「ええやろ〜?もうアンタより霄ちゃんと仲ええわ」
なっー!と妙子さんが笑う。
「ふふっ、そうかもしれないですね!」
そんな妙子さんにのると、
「そ、そんなことないやろ??俺やろ??」
とすばるさんが慌てる。
「ええから帰れ」と冷たく言われ、すばるさんは「えぇぇ」と理不尽さに眉を下げる。
本当に仲いいなぁ…
「ほな、霄ちゃん行こか」
「あ、はいっ!」
もう一度、妙子さんに一礼して、歩き出したすばるさんを追いかける。
たくさんの筑前煮を2人で手分けして持って、
前より少しだけ、
すばるさんの隣になるよう、
並んで歩いた_________