第6章 誰為、己為
「ん?なんでです??」
錦戸さんはわたしの問に、短く「さぁな」と言って軽く笑った。
錦戸さんについて行っていると、ある一軒家の前で止まった。
錦「ここや」
「っえ??」
い、家ですよ??
「…何かハンドメイドのお店とか…?」
錦戸さんが可愛い雑貨とか買うとは想像つかないけど…
錦「ちゃう。実家や」
「へっ?!実家ですか?錦戸さんの?」
錦「なんで俺が浪花を実家に連れていかなあかんねん。すばるくんのや!」
と、インターフォンを鳴らす。
……ん?!
「いや、どっちみちおかしいでしょ!!」
『はーい』と明るい声がした。
錦「あ、すみません、錦戸ですけど、」
『あら!横山くんから聞いてます〜。ちょっと待ってやぁ』
すぐに、ガチャッという音と共に玄関の扉が開く。
「こんにちは~、遠くからありがとうねぇ」
錦「いや、こちらこそ急にすみません。」
「いいのよ〜!あっ、もしかして、そちらが…?」
こちらに目を向けられたのでハッとして、
「あ、浪花霄といいます!」
バッと頭を下げる。
…すばるさんの、お母さま…?
「あらぁ~やっぱり!話に聞いてたとおりで安心するわぁ。いつも息子がお世話になってます〜」
「いえいえ!こちらこそいつもすばるさんに面倒かけたりしてしまって…!」
って…ん????
「…あの、話に聞いてたとおりって…」
「横山くんから聞いたんやで~」
んんんん???なんで横山さんが??
「立ち話もなんやし、入って入って!」
錦戸さんと揃って、すばるさんの実家に足を踏み入れることとなった…。
「はぁ〜~錦戸くん、イケメンやわぁ」
すばるさんのお母さま…妙子さんは錦戸さんをガン見している。
(妙ちゃんって呼んで!と言われたけどさすがにハードルが高かった)
錦「いや…すばるくんのほうが何倍もですよ!!」
錦戸さんは妙子さんと話せて嬉しそうだ。
錦「あっ!浪花!写真!!」
「へっ?写真??」
わたしはと言うと、妙子さんが貸してくれたエプロンのリボンを結んでいた。
錦「横山くんに言われてん。ちゃんと写真も撮っとけ!って。妙子さんも一緒に!」
「あらぁ…可愛く撮ってね♡」
ノリノリですね…!さすが!!
妙子さんが横に来て、ピースをするので、わたしも遠慮がちではあるけどピースした。