第6章 誰為、己為
横「メンバーの誰かおった方が気まずくないやろ?それに浪花ちゃん、普段自分が使ってる電車バスじゃなかったら危ういらしい。」
錦「…ちょっとした方向音痴ってこと?」
横「せや。やから、すばるの実家ってのは伏せて連れてったってくれ。浪花ちゃんがどんな子かは、もう伝えてある」
それに、と付け加える
横「どっくん、尊敬する人のおかんに会いたくない?」
というわけで、俺が浪花をすばるくんの実家に連れていくことになった_________
休日、起きたら錦戸さんから、『連れていきたい所がある。休みいつや』
とメッセージが来ていたので、『今日です』と返した。
今日は学校もバイトもない珍しい休日。
すると、『むっちゃええタイミング。はよ準備せえ。』
と待ち合わせ場所が書かれていた。
こ、この我が道行く人は…!
急いで準備して家を出た。
待ち合わせ場所に着くと、すでに錦戸さんがいた。
「すみません!お待たせしてしまって!」
錦「遅い!どんだけ待った思ってんねや!」
「2時間!」
錦「いや、そんな待ってないw」
「うーん、じゃあ5分くらいですか?」
錦「一気に短くなったな…ほな、行くど」
サッと素早く方向転換した錦戸さんを慌てて追う。
すばるさんの誕生日の時もわたし追いかけてたなぁ。
さすがにあの時ほどの人混みではないので、はぐれる心配もなく後をついていく。
そういえば、
「錦戸さんは変装とかしなくていいんですか?」
今の錦戸さんは、伊達であろう黒縁メガネをかけただけだ。
マスクもしてない。
錦「せなあかんの?」
少し不機嫌そうにこちらを向く。
「いや、そういうわけじゃないですけど…」
錦「俺、悪いことしとらんし。」
なるほど。
「確かにそうですよね…むしろ普段から人に幸せを配ってますもんね?」
わたしたちeighterに夢や希望、笑いや感動。幸せを与えてくれている。
悪いことなんかしてないのに本人達がコソコソする必要なんて別にないよね。
見つけたからってプライベートを邪魔するような行動する方が悪い。
錦「そんな風に思ってんの?」
「え?」
錦「いつもこんなこと言うたら、そういうこととちゃうって言われる。」