第5章 友達以上は、何て言うの
「だって、友達でしょー?友達って、これプレゼントー!ありがとー!で済むじゃない?霄だって友達から貰ってさ、別に最高に欲しいものじゃなかったとしても、誕生日に自分のためにくれたってだけで嬉しいでしょ?だから、そんなもんじゃない?重く捉えすぎ」
…そっか
そう、だよね。
くれたことが嬉しいもんね。
「…姉ちゃんが、まともなこと言った」
「ちょいちょい馬鹿にするよね」
顔を見合わせて、2人でプフフッーって笑いあった。
やっぱり、わたしの姉は最高だ。
そして当日…
どこかの居酒屋に行くとのことで、渋谷さんと待ち合わせすることになっていた。
「……」
早く着きすぎた…
ブブッ
『もしかして、もう着いとる?』
…エスパーですか…?
急かすことになるかと思いつつ、
『すいません、もう着いてます』と送るとすぐに電話が鳴った。
「、もしもし」
『あんなぁ、姿見えとんねん。』
「えっ!どこですか?」
キョロキョロと渋谷さんの姿を探してみる。
渋谷さんより身長が低いとは言え、あまり変わらないからわたしにも見えるはず!
「『霄ちゃん』」
電話を通して、と耳に直で、渋谷さんの声がした。
「!」
わたしの左肩に、少し重みが乗る。
渋谷さんの顔が、わたしの左肩に乗っていた。
「ここやで」
フッと笑いながら電話を切る渋谷さん。
び、っくり、した
「…心臓が止まるかと思いました。っていうか絶対一瞬止まりました!」
胸の高鳴りを隠せるよう、声を大きくした。
そんなわたしの心境なんてお構い無しに、背中を丸めながら「固まっとったもんなぁ」と笑う。
この人、ほんとに心臓に悪い。
わたしがどんなに意識しないようにしてるか分かってますか?!とそろそろキレてもいいですかね。
「ほな、行こか。ここから少し歩くんや」
そう言って渋谷さんが歩き出したので、はぐれないように後ろをついていく。
でも待ち合わせ場所のスポットなのか、人が多い。
しかも週末なので、居酒屋に向かっているようなサラリーマン、もうすでに出来上がっているへべれけなサラリーマン。大学生くらいの人たちもいる。
(はぐれちゃう)
渋谷さんは人混みでも隙間を見つけるのが上手い。
スッスッと進んでいく。
その後を追いかけるが、すり抜けるタイミングがずれてしまう。