第5章 友達以上は、何て言うの
いっちゃん心配やのは…亮やな。
俺と同じで人見知りやし。
遊ぶ相手以外の女に対して冷たい。
霄ちゃんの良さを分かってくれるやろうか。
何も言わずに連れて行ったときの霄ちゃんの反応がいっちゃん楽しみや。
「姉ちゃん、クッキー作ろう」
「…いや、クッキーくらいひとりで焼きなよ」
ぐぬぅ…
「クッキーすらも簡単にできないのがわたしです」
スッと目を細め拝むポーズをとる。
「んふふっヤメロその顔」
「そういえば、クッキーで良かったの?筑前煮、好きじゃん??」
「うん。それも考えたんだけどさ、渋谷さんが好きなのって、妙子さんが作った筑前煮なんじゃないかなって。いわゆる、おふくろの味ってやつでしょ?それを、その味を知らないわたしが作ったら、その味を、思い出を壊しちゃうんじゃないかなって」
わたしが作ってはいけないような気がした。
確かに「好きなものは筑前煮」と言ってはいたが、
なんか、認められた人が、作らないと、みたいな。
まぁ、わたしの勝手な解釈だけど。
「ふぅ〜ん…恋ってすごいねぇ〜」
ニヤニヤしながらこっちを見る姉ちゃん。
「!こ、恋じゃないし!何言ってんの!お友達です!!」
「へぇー?友達以上に思えたんだけどなぁ〜」
、ダメだってば!
言いようがなくて黙り込んでしまったわたしの顔を見て何かを察したのか、「ま、おいおい、ね」と話を切り上げた。
もうひとつのプレゼントは、というと
ダメージジーンズである。
持ってそうだけど、わたし的に好きなデザインを見つけてしまった。古着ではあるんだけど、どこかのブランドメーカーものなのか、ちょっと値が張った。ダメージ部分がひとつひとつ大きめで、ところどころ、赤チェックの別布が裏から縫い付けられている。
裾は巻き上げられていて、履くとくるぶしより少し上くらいになるはずだ。
喜んで、くれるかな…?
万が一、持ってるものとかだったらどうしよう…好みじゃなかったら…
「ちょーーーーい!ちゃんと見て混ぜてよ!こぼれてるよ!」
ハッ!!
「……姉ちゃんは、霄の姉ちゃんだから、考えてることわかるよ。」
え、
「そんなに考えすぎなくていいんじゃない?」
サラッと言った。