第5章 友達以上は、何て言うの
「またしぶたにさんだ」
井浦くんが電話を取り言う。
「この人、ほんっと浪花さんのとき宅配多いなぁ」
ギクッ
「そ、そだね~確かに多いかも~」
なんだろう、この罪悪感…
でも話すわけにはいかないし…
広めるのって良くないよね…?
実は渋谷さんが次はいつか、と聞いてくるようになったので、わたしのシフトを教えるようにしている。
だから、「浪花の時に多い」のではなく、「わたしのときしか入らない」のだ。
よし。
背格好を見に行くぞ!
「お待たせしましたー」
「お待ちしてましたー」
目を合わせてお互い笑う。
そして、
ガン見。
ほうほう…うん、わたしの予想当たってるかも…
「…何?」
ハッ
怪訝そうな顔をして渋谷さんが私の行動を見ている。
やばいガン見しすぎたっ!
「何でもないですよ!」
必死に両手を振り誤魔化す。
「じゃあ失礼します!」
いつも長話をするが急いで切り上げる。
「え、」
渋谷さんが何か言おうとする前にさっさとエレベーターに向かう。
なんや今日、むっちゃ頭の先から爪先まで見られた。
ガン見。
しかもいつも話をしてから帰っていくのに、今日はさっさと帰っていった。
「なん、なんや…」
もしかしてプレゼントの参考とか…?
あの子の表情のわかりやすさと言ったら。
当日、メンバー全員に会うことになる。
そのこと自体は霄ちゃんに伝えてない。
伝えたら絶対「嫌だ」「無理」の2つを連発するに決まってる。そういう子だ。
しかも行動や言動の端々に見えている、「ファンとして見ないで欲しい」という気持ち。
多分、ほんまに俺を友達として接しようと、今でも心がけてくれているように思える。
ヤスの誕生日の時だって、相当悩んだのであろう。
霄ちゃんと出会ったのは4月過ぎで、それから今の9月まで、ヨコ・大倉・内の誕生日があったが、会ったことのあるヤスの時だけメッセージが来た。
ヨコと会った時は既にヨコの誕生日を過ぎていたから言えなかったのだろう。
そんな、気遣いのできる子。
多分、メンバーも気に入ると思う。
特にヒナ。あいつは気遣いのできる子に絡むおっさんや。