第5章 友達以上は、何て言うの
や ば い
空気が…やばい…
み、見られている…目の前の色白さんからも、カメラ越しの渋谷さんにも。
な、なんということでしょう…
『霄ちゃん』
ぐっ、バレてる!
肩を揺らしてしまった…!
「霄ちゃん?もしかしてこの子がすばるが言うてた子?あとヤスも会うたっていう…」
なんだと…
なんでわたしあなた様方の話題に上がってんの…
『霄ちゃーん。捕って食うたりなんかせんから顔隠しなやー』
「…すばる、何もしとらんやろな…??」
袋を少しずらして見てみると、横ちょ…ぐふん、横山さんが振り返ってインターフォンのカメラを見ている。
『…しとらん』
「今の間は何やねん」
横山さん、多分それ本当ですよ。渋谷さん的には何もしてないことになってるんですよきっと。
『…まぁとりあえず開けるから入れ。ヨコ、霄ちゃん、連行して』
?!!!
「おん」と返事をしてわたしの二の腕を掴む横山さん。
女の子の、二の腕を…
平気でつかんだこの人!そこ、お肉柔らかいとこなんですよ!!デブですいません!
わけのわからんわたしの心情など無視して、鬼横山さんは解錠されたドアを通り抜ける。
エレベーターに一緒に、もとい連行されながら乗ると、腕を離してくれた。
その間もわたしは袋を顔の前に持ってきていた。
「なんや、ごめんな、すばるが」
申し訳なさそうに横山さんが言う。
横山さんが謝ることじゃないのに…そう思うが、一緒にいた時間の長さが、言葉に表れている気がした。
「い、いえ…なにも…されてない、です、よ?」
わたし的にはとても重大なことが何度か起きているということと、近くで見るこの色白さんの素敵さで滑らかに喋れない。
「むっちゃどもってるやん」
苦笑いされていると、あの、8階に着いた…
躊躇っていると、横山さんが出るよう、ドアの開くボタンを押したままなので、うぅ…と思いながらエレベーターから降りた。
「、お先に、どうぞ…」
「嫌や」
……え、えぇぇー…!
拒否?!なんで?!
わたしの焦りからくる挙動不審さを見て、
「さっき、なんや言われたから嫌や」
と言った。
ガキかよ!と突っ込みたかったけどわたしもガキみたいな躊躇いをしている気がして言えなかった。