第4章 お友達って、
村「ほな、全員よそったことやし、いただきますか!」
横「すばる、いただきますして」
おー、と渋谷さんが返事をする。
「では~みなさん、手を合わせてください」
パンッとわかりやすくみんなで手を鳴らし合わせる。
「いっただっきま~~す」
とお決まりの挨拶でそれぞれ、よそったものを口に入れる。
……
…大根だ。
大根だけど…!なんか!変な味がする…!
形容し難い味がする!
大「大根や」
安「え?おれも大根やねんけど…」
錦「俺もや」
村「多分、俺も大根やわ」
横「これ大根か??変な味すんで」
丸「僕も大根ですわ~」
渋「…俺もや」
…え?
「霄ちゃんも?」と渋谷さんが聞いてくる。
「です…。」
全員大根?
横「電気、1回つけよか」
横ちょが電気のスイッチがあると思しき方へ立つ。
パチッ
いきなりの光に目がちかちかしながら、全員で鍋を覗くと
鍋には大量の液体で何色と言ったら良いかわからない色で埋まっており、そこに微かに大根が見えた。
…具は大根しか見えない。
「「「「「「「「……………」」」」」」」」
嘘やろ!wwwwwwと誰かが笑い始め、それに続き、全体でワッと笑い声が上がる。
どうやら全員、鍋の素を買ってきていたらしい。
しかも、それだけ。
よって鍋の素のあごだしと大根を買っていたわたしの大根のみの鍋が出来上がっていた。
「…わたし、一応具材買ってきますね」
いろんな素が混ざってるので、美味しくないかもしれないが、さすがに捨てるのももったいないし、かと言って大根だけだと数に限りがある。しかも寂しい見た目。
財布を握って立ち上がろうとすると
パシッと腕を掴まれた。
見ると、渋谷さんが私の腕をつかんでいる。
「8人分やし、持てんやろ?俺も行くわ」
とわたしの腕を引っ張りながら立つ。
周りから「おお~」とこちらを見ながらなにやら色めき立つような声が上がる。
「え、でも絶対わたし渋谷さんより持てますよ??」
渋谷さんはわたしより細いし…
「うっさいわあほ!おっちゃんに任せろ!」
ダスダスとわざと足音を立てて玄関へ歩いていく様は不機嫌に見せようとしているようだった。
村「霄ちゃん、行ったってw拗ねるから」
とヒナちゃんに後押しされ、慌てて渋谷さんを追いかけた。