第3章 新たな日常
あのセクハラまがいの電話から、一時の間、回数も減ったようで、会えずにいた。
(お仕事で地方行ってるのかな…)
あまりにお客様と店員として、プライベートとして、話しすぎて忘れかけてしまうけど、
渋谷さんはジャニーズ。
売れてるグループの一つなのだ。
いくらドラマには出ないと言えど、多忙なことに変わりはない。
(うーん…頻繁に頼んでくれるようになっていたからなぁ…寂しいかも…)
…なんと贅沢な……
ダメだダメだ。
テレビに出てる渋谷さんを見ながら、頭の中では宅配に行った時の渋谷さんが喋っている。
…1度、気になって、同い年の子達や後輩の子達に、渋谷さんに宅配に行った時、話するかを聞いてみた。
「いや~?してないよ?他のお客様と変わらん」
とのこと…。
自惚れてしまうのはしょうがなくないか??と思ってしまう。
そっか、わたしだけ…って考えてしまう。
でもそれはわたしの考え方で、渋谷さんからしたら大したことじゃないんだと思う。
「いっ、だぁあ!!!!!!」
「うわ!めっちゃ血ぃ出てるよ!」
カット中に悶々と考え込んでいたらシザーで指を切ってしまった。
「う~~~ジワーッと痛い…」
これバイトのとき、動かしずらいなぁ…
左人差し指の第二関節あたりを切ってしまった。
絆創膏だと水とか使えなくなるからなぁ…液体絆創膏の方にしよう…