第3章 新たな日常
それからは最低でも週1頼むようになっていった。
普段、人見知りをしてしまう性格やってのは自他ともに認めてんのやけど、
何故かこの霄ちゃんにはすらすらと喋れる。
「浪花」効果やろか。
宅配の回数を重ねる毎に、霄ちゃんの態度も最初のドタバタ感?が減り、
普通のお客さんと店員のように話してくれるようになってきた。
多分、普通の、と感じれるように霄ちゃんが、俺を芸能人として捉えないようにしてくれとんのやと思う。
でも暗がりの中でもわかるくらいに、
顔が真っ赤だ。
朝から働いてると聞いてから、昼頃に頼むこともあったが、そのときにはもう「熱中症にでもなりかけとんのとちゃう?」と言ってしまうくらいに赤かった。
その変わらない初々しさというのもまた30を越えた俺には若さを見せつけた。
そんなあの子がまさか今年で20歳とは…。
若いんやろうなってのはわかってたけど。
あの、見た目で、20歳。
俺も童顔やなんや言われてるけど、まあ見られる仕事しとるしなー思うてたけど、
あの見た目で、20歳…!
おっちゃんもう言葉なくすわ…
ほんで今日は腕の痛々しさに思わず、
初めて触れてもうた。
…柔らかかってんなー。
見た目、ちょい細めやから骨触ったみたいになるか思うてたけど
って
そんなこと言うてる場合ちゃうやろ!!
いくらあの子がeighterでしかも俺推しや言うても!
肩書きやらなんやらとっぱらったら、おっさんが未成年の店員の腕掴んでんねやぞ!
あかんやろ!セクハラ言われるやろ!
はー、どないしよ。
またなー!言うて霄ちゃんも元気に「はい!」言うてたけど、
内心、「あー!きも!ジャニーズっつってもおっさんに腕触られたわ!」なんて思ってたらほんまにつらいわ…
もう二度と来んかったらどないしよ。
あの子、話し上手やないしむしろたどたどしいとこもあんねやけど、なーんか話聞きたなるんよなぁ…