第3章 新たな日常
……
霄ちゃんが帰っていった後を見届ける。
4月に、今まであまりとったことのなかった出前を頼んでみた。
家の近くにカレーのチェーン店があって、宅配もしてるという広告があり、
まぁ、ピザよりはええかな?と思って経験の少ない出前の電話に挑戦した。
電話に出たのはハキハキと堅苦しすぎない、感じの良い話し方をする女の子やった。
一瞬、女の子か…騒ぎにならへんよな?と自惚れともとれるような考えも浮かんだが、考えすぎか、と気にしないようにした。
しかし、浪花という苗字には気がいった。
すると20分もしないうちにインターフォンがなった。
画面に映る人物を見ると、高校生になったばかりかと思うくらいの幼さを残す女の子が映っていた。
通話のボタンを押すと、出たことに気づいたらしく、出前を頼んだ店の名前を元気よく言っている。
ん?この声…
一時すると、玄関の方のインターフォンが鳴った。
財布をどこやったかと探すと思いのほか時間がかかってしまった。
やっとのことでドアを開けると、やはり幼さを残す女の子が。
「こちらお先に商品でー…」
とこちらの顔を見て固まった。
…あ、マスクもなんもしとらん
財布のことで忘れとったわ…
すると、微かに女の子は何かを呟いた。
顔をすごく真っ赤にしながら、俺らのおかげで自分の苗字が好きになったという言葉とどこか面白さのあるあの子のことが
俺は気になるようになっていた。