第8章 あなたと
「ちょ、あわ、まっ、マスクとか、」
「霄ちゃん、」
「______」
…へ?
「、なんですか?」
周りの喧騒で聞こえなかった。
聞き返すと、すばるさんが一瞬驚いた顔をして、その後、ふっ、と柔らかく笑った
と、思ったら
すっ、とすばるさんの顔が、わたしの耳元に近づいた。
そして、
耳元で、
「好きや、霄ちゃん」
、え、?
「っ、今、なんて、」
止まりそう。
思考回路も、
心臓も。
ゆっくりと、すばるさんの顔が離れる。
「何回言わせるつもりなん?」
ふはっ、とすばるさんが目尻にシワを刻む。
「好きや。霄ちゃんのことが。誰よりも何よりも。」
「、す、」
「やから、俺と付き合ってください」
すばるさんの顔が、真剣なものになる。
そ、
そんな、
「な、なんで、まっ、」
本当に、何も考えれない。
何て言えばいいのかわからない
「霄ちゃん、俺のことだけ、見てや」
あの力強い瞳で、見つめられる。
見てやって、
そんなの、
「見てます!わたし、すばるさんのことだけを見てます!!今までも、これからも!!すばるさんのことだけを考えてて、考えすぎるくらいでっ!」
どう、
どう言えばいいの…!
っ!
腕を引き寄せられ、
気付いたら、目の前に、
すばるさんの、長いまつ毛が、
綺麗な弧を描き閉じられた瞼。
周りから「ねぇ!あれ!」と声が上がる。
ゆっくりと、すばるさんの瞳が開かれる。
それと同時にすばるさんの顔が離れる。
「…すまん、ちゃんと聞く前にしてもうた」
すばるさんが苦笑いする。
き、キス、
「霄ちゃん、顔」
「わわわわわかってますっ!!赤いですよね?!!」
すばるさんに掴まれてない方の手で顔を覆う。
ちらりとすばるさんの顔を見ると、すばるさんの唇がいつもより紅くなっている。