第8章 あなたと
ついに成人式…
なんだけど、
ものすごく、眠い…
頭のこともあって、寝づら過ぎて眠った気がしない。
あぁ、寝転ぶって大事だなぁ!!!ととても実感した。
「今寝てるでしょー?」
「いや、半分起きてます!」
メイク中、目をずっと開けとくのも気まずいし、開けっぱってのもやりにくいかなぁなんて思って目を閉じると、つい寝てしまう。意識が遠のく。
でも、眠いけど、幸せも感じてる。
だって、昨日は久しぶりにすばるさんと話したから…。
話したって言っても、アプリ内だけど…
すばるさんはきっとリハーサルとかしてるんだろうなぁ
「誰かお友達と遊びに行くとか予定あるんですか?」
「いやぁ〜、友達はないですねぇ…式が終わったら姉に着物姿見せに行く予定ですね」
今日は姉だけが仕事。
「仲いいですね!」
「よく言われます。友達はー…あんまり覚えてないんですよねえ…高校ですらもう危ういのに中学とか思い出せませんよ〜」
人の顔と名前を覚えるのが苦手なんだと思う。やっぱり。
「高校のも?!」
ふふ、と店員さんが笑う。
…笑いは取れたから良しかな?
「やっぱりその色、まだ見てないよ」
着付けまで終わり、会場に向かうため車に乗り込む。
「ほんとは赤にしようか悩んだけどねぇ…かぶりが多そうでやめたんだよねぇ」
「霄は青の方が似合うから大丈夫」
青も好きだし、ね。
それに、赤の着物を選ばずとも、
すばるさんが、
赤いネックレスをくれたから…。
「渋谷くんのを大事にするのは良いけど、お父さんがあげたブレスレットも落とさないように気にかけてくれよ」
ネックレスの飾りを触っていると、運転席からお父さんが不満そうに言う。
ちゃんとお父さんのもつけてる。
「もちろん」
二つとも大事なものだからね。
「じゃあ、行ってきます!終わったら電話するね」
会場には新成人しか入れないから、お父さん達とは会場外で一旦お別れ。
あああああ…誰か知ってる人が近くにいるといいなぁ、と思いながら受付を通り、中へ入ると、
「霄〜」
何人かの人が私の名前を呼ぶ。
目を凝らしてみてみると、同じ部活だった子達の数人が座っていた。