第8章 あなたと
ま、まず、良いことか悪いことかだけでも聞こう…!
『良いことか悪いことかは、俺には分からへんけど、とりあえず、霄ちゃんが寝てる間に言うた事と同じ。』
良いことか悪いことか分からないって?!
しかも同じ事?!
『わたしにとって良いことか悪いことか分からないってことですか?』
『おん』
こ、これは…先手?打っても良いのかな…??
いやでも『友達やめるとかじゃないですよね?』なんて聞いたら、賭けの方の答えを聞いてることにもなるから、その時点で賭けの勝敗も決まるってわけでしょ?
…聞けない!!
『あぁ、あとお姉さんによろしく言うとってや。
ほな』
いつもの『ほな』でやりとりの終了が告げられる。
…不安すぎる…。
あぁ、でもここでしつこく言うのも何だか気が引ける…。
さっきまでのライヴの余韻は頭の隅の方に追いやられ、すばるさんの言う【発表】に頭を持っていかれた__________________
「えぇっ!お姉ちゃん、ヤッさんと遊びに行くの?!今から?!
聞いてないよ???!」
いそいそと出かける準備をするお姉ちゃん。
「うん、さっき決まったからwそう長くは遊べないかもしれないけど…。霄は?あれからすばるさんと連絡は?」
「してない…」
そう、あのライヴの日以来、何も送れないでいる。
もし、本当に、
友達をやめようなんて思ってたらって考えると、送る言葉が何も思い浮かばない。
しかも、すばるさんからも何もこない。
そのことがわたしを余計に不安にさせる。
そうして、今日、成人式の前日になってしまった。
「…お姉ちゃんからヤッさんに少し聞いてみるね?」
わたしの表情に、お姉ちゃんが心配して聞いてくれる。
「ううん!気にしないでよ。お姉ちゃんはヤッさんとの時間だけ考えて!」
そう?と心配してくれるお姉ちゃんに、行ってらっしゃいと声をかけて急かすと、渋々、行ってきますと言って玄関を出て行った。
(もう、明日が成人式か…)
3日から今日まで、約1週間…。
あぁ、そうだ、明日のために、今日の夜にヘアスタイルの下準備がある。
崩れないように座って寝るとかしなきゃいけないんだった。
…それをすばるさんに送ろうかな?やりとりのネタになるかな?