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delivery start【KJ∞】

第8章 あなたと



ほんまはこんなことしたらあかんって分かってる。
他のeighterにも失礼やって。


それでも探してしまう霄ちゃんの姿。


(こっちにもおらん…)


サブステージからメインステージの方に戻り、
ステージの右側に移動する。


そっちの方向からヨコが歩いてくる。


「見つかった?」

すれ違いざまに言ってくる。

「…まだ」

「ほーん」
と含み笑いして去っていく。



…わかり易すぎやろ?!
あの笑い方、明らかに霄ちゃん見つけてるやん!


こっちから来たからってこっちにおるとは限らんけど、まだこっちは見てへん。



オーケストラさんたちのおる端っこの方まで行き、客席の方に目を向ける。


と、

真っ赤なパーカーが目に入る。


そして、にぎにぎダブルピース。


『これ、わたし、すばるさんが近くに来たら毎年やってたんですよ』


誕生日の日に酔ったまま話してくれたことを思い出す。



霄ちゃんや

勢いよく嬉しさが込み上げる。


俺も急いで、にぎにぎダブルピースをする。


すると、霄ちゃんが嬉しそうに跳ねる。



可愛ええ、



好きや、




これで伝わらんかいな



暗い中でも霄ちゃんの顔が真っ赤になってるのが分かる。


すると霄ちゃんが
「あっ」っていう顔をする。

ん?

何やろ?と思った瞬間、後ろから衝撃が来る。


「歌詞!」

ヒナのツッコミとそれを見てたeighterの笑い声が上がる。

霄ちゃんも笑ってる。



ヒナに引っ張られながら手を振ると、霄ちゃんも振り返してくれた。












「良かったね」
サッ、とお姉ちゃんが声をかけてくる。

「、うんっ」




いつもと同じ、にぎにぎダブルピース。

去年まではただのわたしの自己満。
いつだったか、テレビで見た、すばるさんのにぎにぎピース。それを見てから、近くに来た時にしてたら目が合うかも、なんて考えて。


でも、今年は違う。


すばるさんが、
返してくれた。


わたしの一方通行じゃなく。









この想いも、

一方通行じゃなかったら、

良いのに、


なんて。






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