第8章 あなたと
「やって〜…雫ちゃん知ってるの、おれだけやん?」
にこにこといつもの調子で話す。
「…は?」
「まだ誰も雫ちゃんのこと知らへんやん?やからぁ、直接雫ちゃんに会うまで教えへ〜ん」
ふふふーん、と鼻歌交じりに言う。
何、それってつまり…
俺らにはまだ知られたくないってこと??
ヤス、気になってるやん!!!
好きやん!!!
「もおーーーー!なんなんんんん!!!!」
すばるくんに始まりーの!
ヤスまで!!!
おっ!
「返ってきた」
「うそ!見して見して」
隣からお母さんがのぞき込んでこようとする。
「やぁだよ」
内緒〜
「い、言わ、」
「言わないよ」
こういうの言うのなんて、野暮だもんねー
や、既にやっちゃってる感あるけど…。
ブブッ
ん?
『なして俺より先に大倉に送ってんねん!』
ば、バレた!
『あ、あの、内容が内容だったんで…!』
『そんなん俺にも聞けたやろアレ!』
っでぇぇえええっ
内容まで見たの?!
『でもすばるさん、ああいうこと、聞けるんですか?』
だってそんなイメージないかな、って…
『聞けるわ!』
聞けるんだ…!と思った瞬間、
『多分』と来た。
ちょっと自信なくしちゃったんですね
『今なんしとるん』
と、急に話題が変わった。
『初詣の渋滞に巻き込まれてます。あとちょっとで駐車場に入れそうなんですけどねー…』
『今日行ってるんかー。』
『すばるさんはもう行きました?』
『おん。行ったで。』
『お願いごと、しました?あれって挨拶するべきらしいんですけど!』
『した。今一番叶って欲しいこと。』
『ツアーの成功、とかですか?』
すばるさんもお願いごととかするんだなぁ…
『ちゃう。内緒。』
そりゃそうだよね!
お願いごとを他の人に言っちゃったら叶わなさそうだもん…
『霄ちゃんは何て話すん?』
うーーん…もちろん就職決まりますように、だけど…
わたしは欲張りだから、
すばるさんと、
ずっとずっと、
一緒にいれますようにって。
お友達ってだけでも幸せだから。
それを終わらせないで欲しい。